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地方の習慣・しきたり担当研究員:岸本 武

「結納」について その3 ~地域別の結納品の特徴~

第三回目では、関東、関西、九州の地域別の結納品の特徴をみてみましょう。
(レポート担当研究員:岸本 武)

【8】地域別の結納品の特徴

(1)関東式の結納品
※該当地域は関東地方、東北地方、北海道、沖縄地方となります。

 「結納」について 結納品の9品目が基本的なフルセットになっています。
他に、9点セットから家内喜多留と松魚節を省いた7点セット、さらに子生婦と寿留女を省いた5点セットもあります。

 結納金の名称は『御帯料(おんおびりょう)』(あるいは金包(きんぽう))といい、
結納金とは別に『家内喜多留(やなぎだる)』という 名目で酒肴料を包みます。(結納金の一割位が目安です)
 関東式の目録の宛名は関東圏の場合は「本人」→「本人」宛て、北関東、東北、
北海道、沖縄の場合は「父親」→「父親」 宛てでそれぞれ書きます。

 以下に、一部地域における特徴的な結納品について述べます。

・宮城では、「貰受状」という印刷物を結納品目に加えることがあります。
これは「嫁に貰います」という証文で、候文でかかれており、これに対して嫁方では「進参状」
つまり「嫁にやります」という証文を婿方におくるしきたりになっています。
・新潟の長岡地方では「多喜茶」といって、お茶を結納品に加えます。
この習慣の由来については、「お茶の木は常に青々と葉が茂り大木の日陰でも育つ
(姑のそばでも円満に育つ)ということで、昔殿様が広めた」といわれ、
「それを受けた嫁側は子袋にいれて親類に配る」のがしきたりです。
・石川・福井では、結納品として「福地」つまり服地を加えることが多いです。
現在では洋服生地か既製服を贈ることが一般的になっています。

(2)関西式の結納品
※該当地域は関西地方、近畿地方、東海地方、中国地方、四国地方となります。

 松(結納金金封)、竹(酒料金封)、梅(肴料金封)、寿留女、亀(末広)、高砂人形、
指輪・記念品、鶴(熨斗)、子生婦の9品目が基本的なフルセットの結納品になります。
ひとつの飾り台にすべての結納品を乗せる関東式に比べて、関西式はそれぞれの
結納品を飾り台に乗せるので豪華になります。
松竹梅の水引飾りに結納金(小袖料)、酒料(家内喜多留/やなぎだる)、
肴料(松魚料/しょうぎょりょう)、の合計3つに分けてお金を包みます。酒肴料は
結納金の一割程度を目安にします。(例:結納金が100万円の場合、酒料5万円、肴料5万円)

 なお、5点セットは松・竹・梅と鶴・亀、7点セットは5点セットに高砂人形と
指輪・記念品台が加わり、9点セットではさらに寿留女と子生婦が加わります。
関西式の結納では、目録を品目に数えません。目録の宛名は「家」→「家」 宛て
ですが、一部の地域で 「親」→「親」 宛ての書き方もあります。

 以下に、一部地域における特徴的な結納品について述べます。

・奈良では、一般に化粧品セットを品目に加えています。
・愛媛の松山地方では昔から、花嫁の履物と足袋を結納品として持参するのがしきたりです。
最近は現物でなくお金でする人も増えています。
・鳥取では、結納の際「八木料」つまり米料を贈るのがしきたりです。米を巾着に一合ずつ入れます。

(3)九州地方の結納品
※該当地域は、九州地方全県(福岡・大分・佐賀・長崎・熊本・宮崎・鹿児島)となります。

 角樽、松(小袖料・結納金)、竹(子産婦)、梅(寿留女)、鶴(熨斗)、亀(寿恵廣)、
指輪台、高砂人形、御知家(お茶)の9品目が基本的なフルセットです。
 目録の宛名は、「家」→「家」 宛てとなります。

 九州では地方によって、通常の結納品に加えて「清酒」「お茶」「真鯛」の現物を用意します。
また、結納を重要な儀式として重んじていますので、結納飾りも豪華なものが多くなります。
結納の前にも、お茶や、鯛、お酒などを持参する、「久喜茶/くきちゃ」、「寿美酒/すみざけ」
などと呼ばれる習慣があります。

 次に述べる通り、九州では各地域で、結納前に行う儀式にも特徴があります。

・福岡県北部では、婚約が決まったら大安吉日を選んで酒一升、鯛一匹を仲人又は婿方の
親が嫁方へ持参します。一生一代の意味があります。
・福岡県南部では、婚約が決まったら大安吉日を選んで酒一升、鯛一匹、お茶包みを仲人又は
婿方の親が嫁方へ持参します。
・大分地方(別府・大分)では酒2本、鯛2尾を「要打ち」として嫁方へ持参します。
最近ではあまりみかけませんが、反物を持参する事もあります。大分郡部では「壽留」と呼ばれています。
持参する物は同じです。大野郡では「日ぎわめ」と呼ばれています。同じく持参する物は同じです。
・佐賀では、背振地区では「きまえ酒」、鳥栖地区では「固め」、大詫間地区では「固めドックリ」と
呼ばれているしきたりがあり、吉日を選び仲人が酒一升と鯛一匹を嫁方へ持参します。嫁方では
仲人に酒肴を出して接待をします。又、嫁方ではそれを披露する場合があります。
有明海沿岸地域では鰤(ブリ)や水産加工品(カマボコ・竹輪)等を結納と一緒に持参します。
・長崎地方では、佐世保市・長崎市で酒一升、鯛一尾を「固め」として嫁方へ持参します。
・熊本・八代地方では酒1本、鯛1尾を「壽美樽」として嫁方へ持参します。
・鹿児島地方では酒一升、鯛一尾を「嫁じょもらい」として嫁方へ持参します。又は菓子折り
を持参することもあります。

<続きます>

担当研究員
担当研究員岸本 武(キシモト タケシ)
研究・活動テーマ
研究レポートを「ブライダルの今と昔」などで公開