リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

過去から未来へ繋ぐ 〜14年前の1本のネクタイが繋いだ家族の物語〜

14年前に言えなかった想い1本のネクタイが
家族の絆を結び直すアイテムに

髙浦 明日美(たかうら あすみ)さん(現:LUMIVEIL TOKYO)
LAGUNAVEIL OSAKA(大阪)

自身のプライベートの充実を大切にしている。楽しい!と感じた事をお客様との会話に取り入れる事も多く、最近はお気に入りの本屋さんを見つけ休日には一日中本屋さんにいる事も。

14年前のネクタイを結婚式のキーアイテムに

 幼い頃にお母様と離別された新郎。伯母様が母親代わりとなって我が子同然で育てられ、20歳を過ぎてからお父様が再婚、お義母様とは、照れもあり上手にコミュニケーションが取れないまま微妙な距離を感じているご様子でした。打ち合わせの際「結婚式で家族に焦点があたることから、義母が気にするのでは」と心配される新郎から、お義母様を家族の一員として大切に思っているけれど、今更伝えられないという複雑な想いを感じることができました。新郎は14年前、就職祝いとしてお義母様から頂いたネクタイをお持ちとのこと。私は、「結婚式の再入場でそのネクタイを着用し、お義母様に見てもらいましょう」と提案。新郎は「気づかれないのでは」と不安気でしたが、「新郎様を思って選ばれたネクタイです。絶対に喜ばれます」と説得しました。
 もうひとつ気にかかることがありました。それはまだプロポーズをしていないということ。14年前とは違い、新郎にはちゃんと新婦へ気持ちを伝えてもらいたいと思いました。そこで新婦には内緒で「100本の赤いバラでプロポーズ」演出を薦めることにしたのです。

新郎がお義母様からもらったネクタイをつけて再入場したシーン。満面の笑みをたたえた新婦の横で、緊張気味の表情の新郎。白いタキシードに淡いグレーのネクタイがお似合い

新郎の想いをスタッフ皆で共有。家族の絆に感動した

 私はいつも事前の打合せで、スタッフに対して、新郎新婦様、私の結婚式への想いが詰まったラブレターを用意します。今回のテーマは“ネクタイに込めた新郎のお義母様への想い”。結婚式当日。再入場のシーンです。不安そうな新郎に美容スタッフは、「ネクタイが見えるようジャケットのボタンを開けましょう」とアドバイス。キャプテンは新郎をお義母様近くに自然に誘導します。お義母様は一瞬驚かれ、嬉しそうにお父様と言葉を交わされていました。新郎は少し照れた少年の様な笑顔。新婦も安堵の喜びの表情です。その様子にスタッフ全員が涙をこらえていました。
 披露宴後は新婦へのサプライズ。新婦だけチャペルにお連れし、そこに100本の赤いバラを持った新郎が登場。「こんなことしてもらえるなんて!」と新婦は涙を流して喜ばれました。
 準備期間中、プライベートに踏み込み過ぎているのではと悩んだこともありました。でも踏み込んだからこそ、想像を超えた感動を得ることができたのです。新郎の想いを汲み、自ら考え行動してくれたスタッフがいたから、実現した結婚式です。

新郎新婦、親族が揃った家族写真。人前式では両家のお母様に立会人に。当日のサプライズでお願いしました
新郎伯母様へ感謝のメッセージをクッキーに描いたデザートプレート。伯母様は号泣してプレートを見つめていました

スタッフへのラブレターを元にチームで結婚式を作ります

 結婚式前のスタッフとの打合せでは、新郎新婦のエピソード、結婚式のテーマ、打合せで感じた私の想いを書いたシートを用意。私はこれを「ラブレター」と呼び、心を込めてスタッフへ手渡します。スタッフは内容を理解し、結婚式のテーマを確実に反映してくれます。いい結婚式を成功させるために、スタッフとの信頼関係を大切にしています。

審査員の目

 ひとつのアイテム、一言の言葉で、眠っていた想いを引き出す事ができる。結婚式はそんな素敵な瞬間を生み出す事ができます。そのためには、プランナーが新郎新婦はもちろん周囲の方の想いを汲み、プランナー自身の想いを乗せて丁寧にプランを紡いでいく事が必要です。今回のプランニングは、髙浦さんの熱い想いがあってこそだと思います。

ウエディングを進化させる