リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

家族をつないだ歌 -花嫁-

いい結婚式を創るため、新郎新婦に一歩踏み込む勇気
その背中を押してくれるのは、私達ひとりひとりの経験

中尾 友香(ながお ゆか)さん
ブランリール大阪(株式会社ブラス)(大阪府)

関西大学 総合人文学科心理学専攻卒業
新郎新婦とゲスト、大切な想いがきちんと届き合うよう、当日を描きながらプランニングすることを心がけています。特技は、中学から続けているテニス。今年の1月は全豪オープンにも行きました。

結婚式をする意義を見出したい
強い想いが新婦との距離を縮める

 結婚式まであと一か月。私は新婦の想いを拾いあげることが出来ず焦っていました。新郎側の進行が順調に決まってゆくなか、まったく決まらない新婦側の進行。両親への手紙でさえ「いらないです…」の一言。「ご家族で感謝を伝えたい方はいますか?」と問うと、新婦は小さな声で「うちの両親仲良くないので…」と。私はこの時「聞いてはいけないことを聞いてしまった」とそれ以上は何も聞けませんでした。新婦の消極さの背景には、ご両親の別居があったのです。
 そんな時「昔、父が花嫁っていう歌を歌いたいと言ってた」と新婦がポツリ。どうにかして新婦にも結婚式をする意義を見出してあげたいと考えていた私は、思い切って「ご両親にお電話をさせていただけませんか?」とお願いしました。了承を得てお話ができたお父様。「楽しみにしています。実はスーツも新調しちゃったんです」お母様も「娘のドレス姿、とても楽しみです」私はご両親とお話しした内容を、そしてその想いを新婦に伝えました。しばらく黙っていた新婦は「手紙…読んでみようかな」と少しはにかんだ笑顔を見せてくれました。
 順調に進んでいた新郎にもご家族の悩みが。それは幼い頃から口をきかなくなってしまった兄との関係。「中座はお兄様と一緒に歩きませんか?」歩み寄りたい気持ちはあるものの、なかなか決心できないでいる新郎。背中を押したのは少しずつ結婚式に前向きになってきていた新婦からのひと言でした。「そばにいてあげるから、がんばって」

全力で勇気をサポート
最後に背中を押したのは…

 結婚式当日。私は思い切って、新郎と新婦の中座の順番を逆にしました。新婦が隣にいることで、新郎も「お兄ちゃん!」と勇気を出して呼びかけることができるからです。最初は目を合わせることが出来ない兄弟。その背中を新婦がトンと叩きます。「お兄ちゃんと本当は仲良くしたい」お兄様も「いつも後悔していた。今までごめんな…」と新郎を抱きしめたのです。新婦は手紙の朗読を決めたものの、「途中で止まってしまったらどうしよう」と心配していました。私は「家族との思い出の写真をスクリーンに流します。ご自身のペースで安心して読んでください」と提案。今まで言えなかった想いを伝えることができました。
 私が仕掛けた最大のサプライズは披露宴が終わったあとです。ゲストの見送りを終え、会場に戻る新郎新婦と両親。そこへスタッフ全員が大きな拍手で迎えます。新婦のお父様からの娘への言葉。そして全員で歌う「花嫁」。離れていた家族の心が再びつながりあった瞬間でした。

幼いころから口をきかなくなってしまったお兄様と仲直りができた新郎。お兄様のエスコートで中座をする様子。勇気を出し家族へ想いを伝えられたことで、この結婚式は今後の家族にとって特別な一日になったと感じました。
式後の新郎新婦へサプライズ。お父様が歌いたかった「花嫁」をご家族と共に大熱唱。実は「花嫁」は当式場がラストに花嫁にお祝いとして送る歌でした。お父様が歌いたかった歌。運命を感じた瞬間でした。

無駄な経験なんて何ひとつない
私にしかできない結婚式もある

 一度は踏み込むことをためらった私。しかし、迷いを振り切り一歩踏み込むことができた理由。それは昨年、経験した自身の離婚です。葛藤を経て、今は前向きで、あの時の選択に後悔はありません。だからでしょうか。新婦のご両親にも、それぞれ人生の選択がある。そう考えると少しだけ前に進めたのです。
 離婚した当初は自分にはプランナーの資格があるのだろうか?と考えたことも。でも、その経験があったからこそ新婦のご家族に一歩踏み込むことが出来たのです。だからこそ今は自信を持って言えます。「私たちウエディングプランナーに、無駄な経験なんて何ひとつない」

評価のポイント

 新郎新婦や家族の在り方が多様化する中、プランナーにもそれに相対できる判断力が求められている。一方で、結婚・出産など自身の人生の選択に悩むプランナーも多い。しかし自身の経験から逃げず真正面に向かい合うことで、仕事の質を高め、新郎新婦のより大きな幸せに寄与できるのだという中尾さんのメッセージは、ブライダルに関わるすべての人間に勇気と自信を与えてくれました。

ウエディングを進化させる
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