リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

She loves you

プランナーという立場を超え、一人の人間として向き合い「ふたりのためにできること」を考え続ける

石垣 永美(いしがき えいび)さん
Kafuu Resort Fuchaku CONDO・HOTEL(沖縄県)(現所属:EI WEDDING)

日本工学院八王子専門学校 インテリアデザイン科 卒業
ウエディングプランナー歴7年目。結婚式を創るにあたり、一人の人間としてお客様と向き合うことを何よりも大切にしています。趣味は結婚式・・・と大好きな妻に言われるほど周りが見えてないと指摘をもらう日々。

45日前。結婚式をプレゼント?
新婦の想いに覚悟を決める

 「夫を喜ばせるために、この夏、内緒で結婚式をプレゼントしたいんです」ある日、5歳と3歳と1歳の女の子3人を育てる岐阜在住の新婦からご相談をいただきました。事業を営み、家族のために毎日夜遅くまで仕事に打ち込む新郎へ結婚式をプレゼントしたい。自分の事より、とにかくパパや子供たちに喜んでもらいたい」という強い想いに胸を打たれました。「まだ間に合います!どうせやるなら、徹底的にやりましょう!」挙式まであと45日。短くも暑い夏が始まりました。まず、新郎の友人家族と一緒に、慰安旅行という名目で沖縄へ。家族の記念写真を撮影する予定を立て、会場である結婚式場に。そこに友人家族が待ち受け、サプライズ結婚式というプランです。友人家族の前向きな協力も得ることができ、準備は万端でした。しかし、結婚式前日に思わぬハプニングが。

まさかのハプニングを乗り越え
忘れられない大切な1日に

 無事に沖縄へ到着したものの、些細なきっかけで新婦は新郎を怒らせてしまい、新郎が「もう明日の撮影は無しだ!」と怒って出て行ってしまったというのです。「サプライズは諦め、打ち明けた方が…」と悲しい顔で呟く新婦を見て、私は迷いました。「内緒で結婚式できないの?」と泣きそうな子供たち。これまで頑張ってきた新婦や子供たちの事を思うと諦めきれません。話し合った結果、新郎の友人の助けを借りる事に。友人ご夫婦は、状況を十分に理解し、新郎の気持ちを立て直してくださいました。
 当日、予定通り写真撮影の会場であるチャペルに現れた新郎。先回りをしていた友人家族を見て、「あれ?なんでここにいるの?」と驚いた様子に、一同はニッコリ。サプライズは大成功!私は新郎に伝えました。「もしあなたが頑なに奥様を許さないようであれば、私は言い合いを覚悟で怒るつもりでした」事情を呑み込んだ新郎は、空を見上げ涙を流し、「ありがとうございました」と一言呟いてくれました。笑顔と感動溢れる式の後は、テーブルやチェアを無くしソファーでくつろぐ特別なパーティー会場へ。子供たちが料理に参加する仕掛けや、ビニール袋を手にはめて食べる食事スタイルなど、大人たちは日頃の子育てを忘れてゆっくりと過ごしてもらえるよう、お子様に活躍いただくスタイルを提案しました。

突然現れた友人たちに驚く新郎。まさかこれから自分の結婚式が始まるとは...。自由行動だった日程だけでなく、そもそも沖縄旅行自体、すべて結婚式のために計画されたものだったのです。

 パーティーも佳境に入り、最後のサプライズ。お子様からパパに、自分がお嫁に行くときに読んでいただく「タイムレター」を手渡します。これは、糖尿病を患い始めた新郎を気遣う新婦を見て、咄嗟に思いついた演出でした。「え!この子が僕のために書いてくれたんですか?」と驚く新郎。実は幼い長女は、まだ「パパ」の2文字しか書けず、新婦が本文を記入。「そうです。頑張って書いてましたよ。」と、私は生涯で初めてついて良かったと思える優しい嘘をつきました。末永く健康でいてほしい。そんな新婦の気持ちも伝わり、新郎にとっては驚きあり笑いあり涙ありの大切な1日となりました。

テーブルやチェアをなくし、ソファーでくつろぐパーティー会場の様子。じっとしていることができない子供たちに配慮したスタイル。大人もゆったりと大切な一日を過ごすことができました。

「愛」の答えを探すこと
それが今の自分の力になる

 幼い頃に両親の離別を経験した私は「自分は家族愛を知らない、愛を図る物差しがない」と考えるようになりました。だから、目の前の新郎新婦が満足しているように見えても「これでいいのだろうか?」「もっとやれることがあるのではないだろうか?」という想いが泉のように湧いてしまうのです。だからこそ諦めずにできる事もある。そう考え、私自身まだ知らない愛の正解を追い求めながら、これからも新郎新婦と一緒に考え努力してゆきたいと思います。

評価のポイント

 サプライズを辞めるか、貫くか。通常ならリスクを恐れ安全策を採るような局面でも、石垣さんは諦めない。当日も全員の様子に目を配り、家族のためにできることを考え続け、最後の瞬間まで幸せな未来を願う演出を紡ぎ出していく。新郎を本気で怒ろうとする姿、子どもたちに一人の人間として相対する姿に見える、仕事の枠を超えた人としての大きな愛情が、この結婚式を生み出しました。

ウエディングを進化させる
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