リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

「スペシャル対談」働くスタッフの環境整備・人材育成から、これからのフリープランナーのあり方まで。ブライダル業界は今、変わるべき時にある。

The Professional Wedding 編集長 石渡 雅浩 様、ブライダル産業新聞社 編集長 池田 義信 様、インタビュアー:リクルートブライダル総研 所長 鈴木直樹(※本文中は敬称略)

業界の変遷や最新動向を熟知した
業界向けメディア・編集長が描く
ブライダル業界の未来図とは?

今回の「トップ対談」は、ブライダル業界の変遷から最新動向、そして現場で働くウエディングプランナーの方々の現状まで、まさに業界の今を最も良く知る編集長をお迎えし、ブライダル業界が向かうべき未来について語り合っていただきました。産業としてのブライダルはどこに向かうのか?現場で働く方々の環境整備や人材育成は?など、私たちが共有したい課題や危機感をご指摘いただき、より良い姿を目指すために必要な道筋を描いていただきました。ブライダル産業に携わる私たち自身の問題を読み解いていきましょう。

最近、特に感じているブライダル業界の変化とはどのようなものか?

鈴木
今回のブライダル総研・トップ対談は、まさに業界のあらゆる事情を熟知されている「業界向けメディア・編集長」をお迎えして、ブライダル産業の発展のために、現状感じておられる課題や危機感、そして、これからのブライダル産業が向かうべき方向について様々な視点からお話いただきたいと考えています。まず初めに、最近感じられている「業界の変化」ということからお聞きしていきたと思います。「変化」というポイントでは、特にどのようなことをお感じになられていますか?
池田

▲ブライダル産業新聞社 編集長
 池田 義信 様
「集客の大きな変化」そして「時代の流れの速さ」、この2つが挙げられます。集客方法などの変化は良く言われていることですが、特に2つ目の「時代の流れの速さ」については、驚くほどのスピード感を感じていますね。たとえば、夏のウエディングプチギフトとしてSNSで火がついた「フルーラ(おしゃれなラムネ商品)」が爆発的に流行りましたよね。しかしながら、その人気に目を付けたギフト会社が参入してきた時点では、もう商品価値としてはピークを過ぎ、流行としては遅れてしまっている。また別な例でいうと、「ドリップケーキ」の写真がインスタグラムで出回ると一気に人気のケーキとなりましたが、これですら秋シーズンまではもちそうですが、来年の春シーズンでは、もう次のトレンドが出てくる勢いです。今注目を集めているのが「長いロールケーキ」。それも2mも3mもある長さのものです。凄いスピードでトレンドが変化してしまう要因のひとつに、感度の良い花嫁のインスタグラムがあります。感度が良いというのは、デザインセンスの良いクリエイター系の花嫁たちが、次々と新しい流行を生み出し、これにブライダル産業の人々が負けているという実情があると思います。
鈴木
流行のプチギフトがあっという間にトレンド商品ではなくなる。もはや、流行を追っていては間に合わない。流行を創っていく立場にならなければ対応できない時代ということでしょうか?
石渡
そういう面では、インスタグラムなどのSNSによる発信を片手間でやっていたのでは誰にも見てもらえないのが実態ですね。ベテランの広報マンではなく、あえて1年目、2年目の若手社員にインスタグラムの担当を任せるケースも生まれています。若い感性を活かすために抜擢されるなどは、ひと昔前の組織では考えられなかったことですね。
池田
SNSは本来ならば大手ではなく、中小規模の弱者の戦略として活用されてきましたが、現場のプランナーの方々のSNSへの対応にも限度があり余裕がないのが現状でしょう。その上、もはやSNSは単なる集客戦略ではなく、ブランディングのための発信が重要になってきています。告知のみを月1回アップしているのでは発信する意味がない。認知度を上げ、ブランド力をアップするためのコンテンツが必要なわけです。ドレスフェアなどではなく、「まかない」の食事を発信してみてはどうかと提案したことがあるくらいです。差別化を図り、社名を覚えてもらうために、どんなコンテンツを提供できるかが問われてきています。
石渡
確かに5年後、10年後を見据えた戦略が必要ですよね。ただ、今の現場は目の前の忙しさに追われすぎていると思います。2、3ヶ月先をどうするのかに追われている。ブランドを発信していくためにも、働く人の環境整備が求められていると感じますね。

現状の業界の課題とは何か?人材を活用するために求められる環境整備とは?

鈴木
先ほどのお話で、現場の環境整備が必要だという視点が出ました。やはり業界の一番の課題は、人材を活かし切る、また人材を育てるという意味での「働く環境整備」にあるのでしょうか?
石渡
2018年問題、つまり18歳人口の減少は、マーケットの縮小という大きな問題と同時に、働き手の減少という一面も抱えています。私どもの会社では人材紹介事業も行っていますが、人材募集する企業側からの問い合わせは毎週のようにきます。「今すぐ紹介してもらえる人はいますか」という問い合わせが本当に多いのですが、応募側の人材がすぐにはいないのが実態です。業界内の中小の会社は採用にお金をかけないでやりたい意向も強く、専門学校とのパイプを軸にしているところもあります。しかし、これさえも厳しい状況が見込まれるわけで、たとえば従来10名の人材を送り出してきた専門学校が、ある年から5名に、さらに3名にと、輩出する人の数が激減していくことも十分考えられるでしょう。
鈴木
そう考えると、今の働く環境をどう整えるのかは急務ですね。大手のブライダル企業が「保育所」を設置し、現在の社員のサポートに取り組んでいる例もありますが、働き続けられる環境整備やサポートも、すべての会社が対応できるわけではないので厳しいですね。
池田
人材の問題に関しては、今のニーズにマッチできる人材がどれだけいるのかということが重要だと思います。新人ばかりが多くてもダメで、やはり経験値のある人材が少ないというギャップに問題があると思いますね。
石渡
女性の初婚平均年齢が全国平均で29.4歳とほぼ30歳になった現状を見れば、新婦の人生経験が、若手のプランナーを越えているケースが多い。22歳のプランナーの経験値だけでは、30代の新婦が納得できるものが提供しにくくなっているとさえ思います。
池田
コストをかけない採用という点では、いわゆる「リファラル採用」、従業員の紹介による採用が注目されています。これこそ紹介者の社員のモチベーションが高くないと、採用したものの一緒にやめてしまうということもある。サービス業全般が抱える問題ですが、人材の確保は今後ますます大きな課題になるでしょうね。
鈴木

▲リクルートブライダル総研 所長 鈴木 直樹
以前の転職パターンを振り返ると、同じ業界内への転職が中心で、職場を変えることでキャリアアップを図るなどの目的が大きかったと思いますが、最近の転職は「業界外」へ出て行ってしまう。この業界で働き続けることそのものが厳しいということですね。そうなると業界全体で、やりがいを得られ長く働きたいと思える業界に変わっていかないとダメなわけですね。
石渡
ゲストハウスの存在は、ここ10年で業界に広まってきましたよね。その当時20代だったスタッフが、今30代となって中堅社員となっている中、年齢的にも「自分の幸せ」を見つめ始めているのだと思います。そうなると、こうしたスタッフのモチベーション維持を真剣に考えていかないと、最も優秀な働き手といわれる層が業界から出ていってしまうことは大きな損失です。
池田
既存のスタイルにNOを突き付けられている状態ですね。業界全体が根本的に考えなくてはいけない時期にきているのでは…。
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