リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

「トップ対談」非婚・晩婚、少子化、女性の活用など、業態や世代を超えて取り組むべきは、負の連鎖をプラスに転換する挑戦だ。

ホットペッパービューティアカデミー長 千葉 智之、リクルート進学総研 所長 小林 浩、インタビュアー:リクルートブライダル総研 所長 鈴木直樹(※本文中は敬称略)

「学校教育」「ビューティ」の調査・研究機関の
TOPと探る共通課題と未来への視点とは?

今回の「トップ対談」は、ブライダル業界とのつながりも近い、大学・短大・専門学校への進学についての調査・研究を行っている「リクルート進学総研」と、美容・ネイル・エステなどのビューティ業界のシンクタンクともいえる「ホットペッパービューティアカデミー」のTOPを迎えて、ブライダル総研も交えたリクルートの「3総研」からのアプローチで、共通課題と未来への視点を探っていきます。

最近のそれぞれの業界動向は?どんな学校や企業・店舗が伸びているのか?

鈴木
今回のブライダル総研・トップ対談は、事業内の業界やカスタマーの調査・研究等を推進し、シンクタンク的な役割を担う「総研」と呼ばれるポジションのTOPを迎えて、業態や世代が異なる中でも、時代の流れを踏まえ、共通の課題やこれから工夫すべきポイントなどを抽出できればと思います。まずは、最近の業界の動向として、どのようなところが伸びているのでしょうか?
小林

▲リクルート進学総研 所長 小林 浩 氏
進学に関する最大の課題は「少子化」です。2018年問題というのがあり、この年より18歳人口が大幅に減少していくのです。1992年には205万人いた人口が、現在は120万人。そして2025年までにさらに10万人が減ります。大学進学率が50%であることをふまえれば、マーケットとして5万人が減少、500人規模の大学・短大が100校つぶれていく、つまり学生募集を停止するという計算になります。マーケットが縮小していく中で、逆に大学等の数は1.5倍増え、現在では大学780校、短大350校、専門学校2800校という状況で、18歳人口を奪い合う競争激化が進んでいます。その中でも入学者を伸ばしているのは、教育理念やミッションを明確に打ち出して、高校生の共感を得ている学校です。たとえば、群馬県にある共愛学園前橋国際大学は、200名ほど規模ですが「小さくても実力がつく大学」として、学んだ英語を活かして地元企業の世界的活躍に貢献するなど地元産業と地域活性の一躍を担う大学として認知されています。もう一つ大きな動きがあります。2019年に新しい学校種である「専門職大学」が作られるのです。これは学位が取れる職業教育校であり、さらに専門学校などの生き残りは難しくなっていきますね。専門学校側もオリジナルな教育方法やシステムを活かした学校が安定しています。学校法人三幸学園は、学生・保護者・学校の三者が幸せになるための人間教育に力を入れて、学生の成長率を評価してもらっています。
千葉
ビューティ業界は、美容サロン、理髪、ネイル、エステ、リラクゼーションなどを含めますが、主な美容サロンの現状でいうと、全体マーケットは1.6兆円ぐらいで、23万件の店舗があります。この規模は、髪を切ることが「必需」であり、無くならない品目であるからです。それでもマーケットが横ばいになってしまうのは、沢山のサロンの廃業とそれを上回る新規出店が起こっており、激しい入れ替わりを常に繰り返している業界なのです。最も大きな課題は「人手不足」の問題です。美容師の国家資格取得者数は2000年頃にカリスマ美容師が注目されて3万人いた時がピークで、今では約半数の水準になっています。もともとそのぐらいの人員規模ではあったのですが、美容師の成り手の減少傾向が続く中、1つのサロンを回すのにも、店舗展開を図るにも、とにかく人が採用できない現状があります。その中で伸びてきているのが「業務委託型」のスタイルです。個人事業主として、正規雇用ではなく業務委託契約をベースに美容室やサロンの一部を借りて働く方法です。もう一つは、鉄道沿線沿いに集中出店していく「沿線ドミナント型」のスタイルです。これは、人の採用問題を解決してくれるメリットがあります。自分の住まいとお店が近い職住近接が可能で、ママさん美容師など女性にも長く働きやすい特徴があります。また都心に比べると家賃も安く抑えられ、集中展開するのでいざという時の店舗間の人材の融通も利くというメリットもあります。。お客様サイドも7割の方は、家から近いお店を選ぶ傾向があるので、需要もあってコストも低いというのが成功のポイントですね。
鈴木
ブライダル業界は、結婚式の単価そのものは落ちていないのですが、結婚式をやる人が減ってきている。もしくは、式はやらなくてもOKという意識の人が増加している傾向にあります。経年変化を見ても、婚姻率そのものが下がっているのが実態ですね。いわゆる、非婚、未婚、晩婚というのが大きな社会現象であるように、このことがブライダル業界の伸び悩みの根幹にあります。先ほどの「少子化問題」は、まさにこうした傾向と連動していますね。あと5歳若くして結婚していたら、子供をもう一人産んでいたのに…という現実的な問題が浮き彫りになってきています。

連鎖する「少子化問題を取り巻く状況」に対して、どのような取り組みがあるのか?

鈴木
進学、ビューティ、ブライダルともに、連鎖的に共通課題となっている「少子化」という問題が根底にあるように見えてきましたが、それぞれの業界では、この少子化を取り巻く直接的・間接的な問題に対しての取り組みはどのようなことがあるのでしょうか。
小林
学校業界では、以前より18歳人口減少対策として、社会人入学の充実や生涯学習の推進というものに取り組んできています。また、子育てにとって一番の負担となる「教育費」への対応が注目されています。政治や行政も合わせた取り組みによって高校の授業料無償化が実現され、今後の流れの中では、大学などの高等教育機関の授業料の無償化についても検討が進められています。
鈴木
ブライダル業界では、非婚化、未婚化、晩婚化の傾向から結婚式だけでは、なかなか立ち行かない流れを見据えて、ブライダルの業態のまま直接取り組むのは難しいですが、業態の幅を広げて「冠婚葬祭のトータル業」へ展開していくであるとか、日本国内にとどまらず海外展開でニーズを増やしていくケースなどがあります。
千葉
ビューティ業界は、ユーザーという点では女性が圧倒的に多い業界なので、女性に対する根本的なサポートが大切になってきます。特に高齢化問題としては「女性の健康寿命をどう伸ばすのか」という視点が大きいですね。今後は単に美容という範疇ではなく、ヘルスケアまで含めた対応が求められるでしょう。しかしながら、美容業界は「個店」つまり個人経営の店舗が多く、「企業体」が少ない。トータルビューティケアに向けて、たとえばM&Aなどの統合を進めてもメリットが少ないのが現状です。そんな中で、理容業界になりますが「QBハウス」は革新的なビジネスモデルとして成功しています。まさに、人ではなく、箱に顧客が付いてくるということを実現したビジネスモデルです。
鈴木
そうですね。確かにQBハウスの事例はよく耳にします。ブライダルもゲストハウスなどの調理やサービスの人材は、毎日同じことの繰り返し業務となりがちで、やめていく人が多いという問題を抱えています。このQBハウスのモデルはどのように構築されたものなのですか。
千葉

▲ホットペッパービューティアカデミー長
 千葉 智之 氏
QBハウスの社長は元々金融業界出身の方で、美容業界に対する先入観無しを持たずに様々な取り組みを行っています。。実際、従来30%以上あった離職率を一桁台まで減らすことに成功されています。その方法は、半年間、給与を払いながら自社内の学校でみっちり鍛えることから始まりますが、何と言ってもスタッフのロイヤリティや満足度を上げるモチベーション・マネジメントを徹底的にやっています。理念教育やマネジメント教育はもちろん、全国のみならず海外も含めた店舗を集めての技術大会なども実施されています。世界中の20代から70代ぐらいまでの理髪技術者たちが一斉に競うわけですから緊張感もものすごく高い。このようなバックヤードでの取り組みが素晴らしいですね。店舗の特性だけを見ると「10分・1000円」という安さだけを追求しているように見られがちですが、1時間にすれば6000円の高単価になりますし、1人の担当が普通の美容サロンの何倍ものお客様の髪を切り続けるので、おのずと技術力は日々向上していくわけです。そのため、愛社精神も高く、純度の高い人材でやっていけているわけです。しかしながら、このスタイルに近道は無く、地道な努力を何年も年かけてやってきた積み重ねの上に成功しているのです。
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