リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

家族の結婚式

結婚式の先に、どんな絆があり続けるのか、
二人にとっての結婚式の意味を考え抜くこと。

新屋 光(しんや ひかる)さん
東京都・リストランテ サルーテ竹芝

プランナー歴15年。「Wedding Design Luce」代表。新郎新婦の希望に対するメリット・デメリットをしっかりと伝えた上で、臨機応変に対応することで信頼関係を築いていく。結婚式をする意味は何か、何がベストか、を常に考え続けながら、プロとしての仕事を追求し続けている。

すでに結婚し3人の子がいる家族が強い絆で結ばれた家族になるために。

 新郎新婦は共に33歳、3人のお子様ー長男9歳、次男5歳、長女1歳の5人家族。新郎新婦のご要望は、「ありきたりの結婚式にはしたくない」「家族で一番の思い出にしたい」の2つでした。二人の歴史や結婚式への想いを聞き進めると、実は新婦は再婚で、長男はその連れ子ということがわかりました。この結婚式では、その事実を知らない長男に事情を知られないこと、また、事情を知らない一部のゲストにも知られないようにする必要がありました。この事情の告白は、新郎からでした。「実は新婦は再婚で、長男は、僕とは血が繋がっていません。だけど僕は、彼女と結婚したというよりも、長男の家族になったんです。」とても力強くて、父親としての長男への揺るぎない愛情を感じました。そして、新郎新婦にとって一番の思い出を作ると同時に、家族の絆を強くするような1日にしたい、と思うようになりました。そのためには、結婚式を当日楽しかっただけで終わらせず、今後の家族の支えになるような1日にしたい。いつか長男が事実を知るその時も、僕はあの結婚式があったからこの家にいても大丈夫なんだと思える、そんな揺るぎない家族の絆を作る。そう考え、家族の結婚式というテーマを新郎新婦に提案し、打ち合わせがスタートしました。

「信頼」「思いやり」「絆」の想いを込めた3本のバラをケースに詰めていく、オリジナル人前式。結婚式後に家族がいつも見えるところに置いておけるよう提案したもの。家族全員で盛大な拍手の承認を受けた。また、未来にこの日のことをリアルに思い出せるように、子供目線での写真を撮ることにもこだわった。

「心と記憶に残るもの」「記録に残るもの」「形に残るもの」「ゲストに楽しんでもらう」

 家族の結婚式とは何か、このテーマを実現するためには何が必要か、考え続けました。そしてたどり着いたのが次の4つのポイントー(1)心と記憶に残るものを、(2)記録に残るものを、(3)形に残るものを、(4)ゲストに楽しんでもらうーです。
 まず(1)として、家族全員が、ゲストから「承認」「祝福」されること。具体的には、子どももホストとして招状にメッセージを入れたり、結婚証明書にもサインをすることを提案。また、いつまでも家族で挙式の話ができるように、誓いのキスではなくオリジナル人前式を行う、さらに、新郎と長男が結びつきを実感できるサプライズ演出を行うことを考えました。
 (2)では、いつでもその日を振り返れるよう写真にこだわりました。家族にとって、結婚式の写真が将来の絆や愛情の確認の備えになるように。今回は実際に子どもがいるカメラマン数名から、事前に家族と会って最も子ども達と相性のよかったカメラマンを指名。子供たちも事前に面識があったおかげで、自然な笑顔で写真を撮ることができました。
 (3)では、結婚式の思い出と、家族の証になるような、お揃いの記念品を残していただくよう提案。みんなが持ち歩ける、絆のアイテムを、家族で何にするのか話し合っていただくようにお願いしました。
 (4)家族の事情を知らないゲストにも、心から楽しんで祝福してもらうために、新婦との腕相撲大会など、ゲストも一体になって楽しめる演出を組みこみました。

長男からお父さんへ、サプライズの誕生ケーキ。二人の大切な瞬間を写真におさめ、絆を形に残しました。

結婚式があったからこそ、いつまでも家族であり続けられる。

 「今日が終わるのがもったいない、ここで結婚式をしてよかった。」そんな嬉しい言葉をいただけた結婚式。今回、この結婚式をここにエントリーするにあたって、長男に事実が伝わる可能性がゼロではないことを新郎新婦にお伝えしたとき、新郎からは、間髪を入れず、こんなご返事をいただきました。「バレたところで俺たち家族は何も変わらないですよ。長男が事実を知ったところで、だからどうしたって今は言える。あの結婚式のおかげです」と。家族のゆるぎない絆を感じ、感激しました。

その日の気持ちに戻れる場所をつくる

 今回のご家族は、結婚式後も時々サルーテに食事にお越しになられています。新婦からは、「家に帰ってきたみたいって感じるんです」といったお言葉もいただいています。レストランウエディングは、結婚式の日までの場所ではなく、再びその日の想いや気持ちに戻れる場所で、そういう場所を新たに二人につくることだと思っています。また、この結婚式を通して、私たちスタッフにとっても、結婚式のお手伝いは、その後もずっと新郎新婦と同じ思い出を共有できることなのだと、改めて認識できました。

審査員の目

 新屋さんのこの結婚式に向ける思いは残った写真を見るとよくわかります。ただ綺麗にその場を映すだけでなく、必ず誰かの視点があり、「この時をどう記憶に残すか」までとことん考え抜かれています。この冷静なプロの技は、とことん家族に寄り添う熱いソウルがあってこそ。それ故に得たカップルからの信頼と賛辞だったのです。(2012年10月22日更新)

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