リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

スペシャル対談「相手の喜びを考える想像力」と「お客様の満足を超える感動」こそ、業界イノベーションの原動力となる。

滋慶学園グループ 専門学校 東京ウェディングカレッジ 学校長 土田 雅彦 様、共栄大学 学長 加藤 彰 様、インタビュアー リクルートブライダル総研 所長 鈴木 直樹

ブライダルの未来を担う人材教育の現場から、
「業界活性化への大切な視点」が見えてくる。

ブライダル総研では、様々な現場のトップの方々から、「ブライダル業界の未来」へのヒントとなる視点をお聞きしていきたいと考えています。2017年のスタートにご登場いただくのは、ブライダル業界の未来を担う人材を輩出する大学、専門学校のトップの方々です。ブライダル業界とのつながりも強く、産学連携や企業での現場実習、インターンシップなどを通じて、教育現場から見えてくる業界活性化への貴重なご意見をいただきました。これからのブライダル業界をイノベーションしていく人材力について探っていきます。

人材育成の教育現場では、現在、どのようにブライダルを学んでいるのか?

鈴木
ブライダル総研は、「ブライダル業界への貢献」と「ブライダルマーケットの発展」をミッションとして、業界に役立つテーマを発信していく活動をしています。昨今、ブライダル業界の採用において「人材が確保しにくい」という課題をよく耳にします。2000年頃には「ウエディングプランナー」を題材にした映画やドラマの影響もあり、人気の高い業界でしたが、人材採用については苦戦を強いられているのが現状です。そんな背景の中で、求める人材と育てる人材、つまりは産業界と教育現場のアンマッチがあるのか、また、さらなる連携強化の改善ポイントはどのような点なのかを、ざっくばらんにお話いただければと思います。ではまず、教育現場では、どのようにして「ブライダル」というものを学んでいるのかということからお聞きします。
加藤

▲共栄大学 学長 加藤 彰 様
共栄大学では、国際経営学部・観光ビジネスコースにおいて、2010年から始めた「ワールドラン」というリアルビジネス授業があります。これは、まさにPBL(Project Based Learning)型授業という「問題解決型授業」のことですが、具体的なプロジェクトをチームの力で推進し、学生たち自身が自主性を持って課題解決に取り組む実践的な教育手法です。ウエディングというテーマでは、実際のカップルの方の挙式、披露宴、新婚旅行ツアーまでを学生たちの手でプロデュースしていきます。また、産学連携の実践の場として、企画には婚礼衣装会社、旅行会社、ホテルなどの企業にもサポートしていただいております。海外のマカオでの挙式を実施した実績もあり、学生たち自身が、海外旅行や挙式への参列経験もほとんどない中、新郎・新婦の最高の思い出をつくるために何をしたら良いかを考えて活動しました。このプロジェクトの授業は、「失敗の許されない状況を学生たちがどう乗り切るか」というドキュメンタリー番組として、テレビ埼玉でも放映されました。今現在は、国内の伊豆・今井浜東急リゾートで挙式披露宴を行う形で継続しています。こうした学びは、ブライダルをキーワードに、ホスピタリティや婚礼から観光までという多面性を学び、同時にビジネスの厳しさを知る機会にもなるのです。この経験を通して、学生たちは大きく変化しました。自分から主体的に発信し、積極的にチャレンジしていく力を発揮するなど、大きな成果が出ています。
土田
私ども専門学校東京ウェディングカレッジは、2014年に開校した新しいタイプの専門学校で、2016年3月に初めての卒業生を社会に送り届けました。ターゲットを徹底的に絞り込んだ、他にはない尖った学校を創りたいという想いから、花嫁を語源とする「ブライダル」という名称ではなく、結婚式を意味する「ウェディング」という名称をあえて選択しました。業界ともさらに深いつながりを持った単科の専門学校にすべく、滋慶学園グループの東京ベルエポック美容専門学校の中にあったブライダル科を独立させました。学生は、それぞれウエディングプランナー、ドレススタイリスト、ブライダルフラワーを専攻し、ウエディングを深掘りする教育に取り組んでいます。専門学校としての特性も活かし、カリキュラムの約1/3(計576時間)を企業での現場実習に充て、「現場で学ぶ」ことを重視し、多様化が進む中で、お客様一人一人のニーズに応えたウエディングを自ら創り出せる“プロフェッショナルの育成"に注力しています。また、あこがれでウェディングの世界を目指して入学してくる学生も多い中、入学前教育を実施して目的意識や動機づけを高める工夫も実施しております。そして、入学後のカリキュラムで最も重要となる現場実習先の方々には、こうした学生の理想と現実のギャップをうめ、卒業後即戦力として活躍できるように厳しい指導をお願いしています。

企業側が求める人材と教育現場が育てる人材の
ギャップや変化を感じている点は?

鈴木
採用する企業サイドから見ると、今の学生は「この職業につきたい」という、強い想いで動くというよりも、自分にフィットするものを探しに来ている印象があるのですが、教育現場で多くの学生を見てこられた先生方からは、今の学生像とは、どのようなキーワードとして表現できますでしょうか。また、昨今の学生側の変化という視点では、何かお感じになられていることはございますか?
加藤
今の学生には、まだまだ「想像力」というものを伸ばす必要があると感じています。どんなことをしたら相手が喜んでくれるのかを考える力、これが想像力です。今の学生に必要なこの「想像力」というキーワードを育てていくためにも、従来の一方通行の座学だけではなく、先ほどの問題解決型授業や、学生が主体的に参加し双方向で学んでいくアクティブラーニングなどの授業を通して、自分で考える力、自分の意見を発信していく力、人の意見を聞き、自分の考えを表現していく力を、さらに伸ばしていく必要があると感じています。
鈴木
今のお話を聞いて思いましたが、確かに最近の学生を見ると「良かれと思うことを一歩進んで行動する」という勇気が少し足りないようにも感じています。優しさのある学生は多いのですが。土田先生は、そのような変化については、どのように感じておられますか?
土田

▲滋慶学園グループ 専門学校
東京ウェディングカレッジ 学校長
土田 雅彦 様
これは、単に学生に起因する問題ではなく、政治や社会、環境の変化がもたらした結果だと思います。学生はある面では、社会の縮図だという気がしています。それゆえに、政治や社会全体、企業の変化という大きな観点から先に見ていかなくてはならないとも感じます。この1年あまりの状況を表すキーワードは「漂流」の中で求められる「イノベーション」だと思っています。今の時代は、企業も、お客様のニーズに応えているだけではなく、お客様の求める満足をはるかに超えた感動を生み出す必要があります。教育でも、こうした感動を生み出すための工夫に、学生たちと一緒になって取り組んでいるのです。企業に求められている変化と、学生に求めるものとを一致させていくことが必要だと思います。満足を超える感動とは、言い換えれば、おもてなしのこころや手づくりの感覚、最後は真心とか感謝といった気持ちの部分が大切となってきます。社会や企業の変化を見据えて、そのことを学生たちにもしっかり伝えていかなくてはならないと感じています。専門学校は、単に技術中心の職業教育をしているのではなく、社会に求められる「人間力」の育成、「人間教育」に重きを置いています。人間力が磨かれなくては想像力や創造力も発揮できないですし、社会に出て人と協力してより良いものを提供できないでしょう。私は「人間の教育」というものが極めて重要だと思っています。
加藤
大学においても、それは同様で、この分野の教育においても、ブライダルをキーワードに、あくまでも「人間力」を育てることが大事ですね。社会と接点を持たせて学ばせるのもそのためです。企業に求められる柔軟な発想を持って、変化に対応できる学生を育てなければならないと考えています。そして、そのベースとなるものは、明るさや主体性、活発さなど「共感される人間力」だと思います。特にブライダル産業では、「共感力」は必要とされる点ではないかと思います。企業の採用のポイントもそこにあるのではないでしょうか。
鈴木
そうですね。企業の採用においては「一緒に働く仲間探し」という視点があると言われるように、そこが大事だと感じます。
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