リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

教育界と産業界の連携を、改善・強化していけるポイントはどこにあるか?

鈴木
教育界と産業界の接点ということでは、インターンシップや産学連携、また企業での現場実習などがあると思いますが、今後さらに、こうした連携を強化していくためには、どのような改善を望まれていますか?
土田
私は就職サポートの一環として、ある企業の本社・人事部ではなく、学生を受け入れていただいている現場の店舗を訪問させていただいたことがあります。その際、企業の方には「学校長が現場に足を運ぶ」ことに大変驚かれました。しかしながら、私は、就職活動は、人事部へのアプローチだけでなく、もっと、学生が実際の現場を見ることができる仕組みが必要なのではないかと感じています。
加藤
大学としては、インターンシップを充実してほしいという想いがあります。いろいろなタイプのインターンシップがあっても良いのではないかと考えています。現在は夏休み期間を活用したやや長めのスタイルのものが中心になりますが、1週間ぐらいの短期間のものや、1日から2日でも良いですが、学生が、自分と企業のミスマッチを察知できる機会を増やしてほしいと思います。インターンシップ期間に任せていただける仕事の内容についても、ともすると雑用などで忙しいだけで終わってしまい、学生からすると「何だったのだろう」という疑問に終始してしまうのはもったいないですからね。
土田
専門学校は何と言っても、出口の就職が大事です。文部科学省は大学に対して、3つのポリシー(3P)の策定と運用を求めています。その3つを専門学校に当てはめ、噛み砕いてみると、1:どのような職業人を育てるのか(出口)=ディプロマ・ポリシー、2:そのためにどのようなクオリティの高い教育を行なうのか(中身)=カリキュラム・ポリシー、3:どのような人を入学させるのか、さらには発掘していくのか(入口)=アドミッション・ポリシーです。いわゆる「出口」というのが一番にうたわれているところが大きな変化だと思います。社会に輩出したい人物像、ディプロマから入ってきているわけです。だからこそ、現場実習は企業にお任せではなく、専門学校と企業との間で、学生を甘やかすことなく、一緒に育てていくという範囲まで、具体的に詰めて行なっています。やはり、出口の成果となる「職業人」の育成は、学校現場と社会・企業と、一体となって「人」を育てていくという視点がさらに強化されていくべきだと思います。
鈴木
インターンシップなどは、企業側も模索しながら対応しているのが現状ですが、単純労働力として終わってしまわない工夫や、現場の理解を深めるために、あえて厳しさをもって実施していくことが求められてきますね。

ブライダル業界がさらに進化していくためのイノベーションのヒントは
どのような点にあるか?

鈴木
先ほどの文部科学省の新たな指針によって、大学・専門学校も大きな変革期にあると思いますが、これからも多くの人材の受け入れ先となるブライダル業界が、さらに進化していくためのヒントとなるようなことはございますか?
加藤
共栄大学では、「社会学力」と呼んでいますが、学生たちにはますます「自分の頭で考える力」「主体性を持って発信する力」、そして「プレゼンテーション力」が求められてくると思います。現在も、学生たちに地域の政策フォーラムへ参加させ、地域の発展プランなどを埼玉県に採用していただいた例もありますが、企業や行政サイドの方々にも、もっと学生の持つ柔軟な発想やアイディアを取り入れていただくような機会を与えていただければと思います。一つの事例ですが、ワールドランで学生たちがプロデュースした挙式において、「運営に携わった学生全員で、新郎・新婦のためのダンスを踊ることで喜びを表現したい」という発案を、ご協力いただいている企業サイドに打診したところ、「ウエディングプランナーは黒子に徹するべき」という業界の常識が壁になったことがありました。業界の暗黙のルールのようなものが、チャレンジ精神にストップをかけてしまったわけです。この時は、何としても実現したい学生たちが、新郎・新婦に直接交渉することで承諾をいただき、「それならばやってみよう」という企業側のご了承のもと、そのアイディアを実現できました。参列者全員が感動に包まれるとても一体感のあるウエディングを実現させることができた例です。このように、学生の持つ新鮮な着眼点を、産業界側に受け入れていただくことで、学生たちの主体的に考える力や発信力が、さらに伸びていく可能性が高まると思いますね。
土田
一つの事例ですが、私どもでは新潟県の大規模なリゾートホテルから依頼を受けて、産学共同してプロジェクトを推進しています。雪国では、昔から寒い冬の時期にお祝い事を避ける風習があるようなのですが、生活様式が変化し交通網が発達した今、これまでの常識を学生たちの力を借りて打ち破りたいという依頼内容でした。若い人達には、様々なユニークな発想があり、地域の風習や街そのものを活性化するような新鮮且つダイナミックな潜在能力があります。そうした若い人達の潜在能力を引き出し、発揮させていくことも業界の発展には必要かもしれません。このような産学共同教育は、地元の教育委員会からも大変注目されています。現代は、お客様中心、所謂カスタマーオリエンテッドの時代です。だからこそ、サービスは、お客様の心をいかにしてつかむか、まさに「感動の競い合い」の時代に突入しています。業界の未来も、学生の教育も、ウエディングのプロとして、心の内側にアプローチしていくことが不可欠になっていくと思います。キーワードは、今の枠組みを「超える」ですね。
鈴木

▲リクルートブライダル総研 所長 鈴木 直樹
ブライダル総研でも、業界の発展のためにブライダルプランのコンテストを実施しているのですが、確かに、この業界のトップ・プランナーといわれるウエディングプランナーの方々は、常にリスクを背負う提案をされています。予定調和で失敗の無いプランだけでは、お客様も、満足はしても感動はしない。もっともっと、今の枠組みを「超える」工夫をしていかなくてはなりませんね。
大学や専門学校の皆さまには、業界のイノベーション力となる人材をどんどん送り出していただき、私たち業界側も、教育現場からのバトンを受け継ぎ、人々が、より生き生き働ける社会を創っていきたいと思います。本日は、貴重なご意見を誠にありがとうございました。

(文・写真/西山俊哉)

共栄大学(埼玉県春日部市)


将来にわたる多様性と汎用性を備えた3つのコースを有する国際経営学部と、これからの時代にふさわしい教育者を育成する教育学部の2学部を展開する少数精鋭大学。実社会と直結したかたちで繰り広げるRB(リアルビジネス)教育の数々に、高い定評がある。学生たちの手で本物のウエディングを「すべて」プロデュースする特別な授業、「ワールドワン」では、旅行会社・ホテル・婚礼衣装会社など多くの企業が参加し、見事な産学連携が話題。
http://www.kyoei.ac.jp/index.html

学校法人 滋慶学園 専門学校
東京ウェディングカレッジ(東京都江戸川区)

ウェディング科 にウェディングプランナー専攻、ドレススタイリスト専攻、ブライダルフラワー専攻を持つ専門学校 東京ウェディングカレッジでは、学びのキーワードを「現場で学ぶ」とされている。在学2年間で3回、計576時間の現場実習プログラムを実施。ブライダルの仕事をリアルに経験でき、学生がしっかりとした将来の選択ができる仕組み。月~木曜日、週4日間の時間割で、週末婚礼のアルバイトをしながら学ぶことも出来る人気校。
http://www.wedding.ac.jp/

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