リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

今後、プランナーに求められる資質とは?

鈴木
これからのプランナーに求められる「資質」というものがあれば教えていだだけますか?スキルやスタンスというものでもけっこうです。
フリープランナーだからこそ感じることなどもお話ください。
岡村
「バランス感覚」。
私はズバリそれだと思います。
バランスと言っても5分5分のことではありません。
お客様と会社、新郎と新婦、個性とスタンダード、ビジネスとプライベートなど、様々な対比が考えられますが、そのシーンによって、時には7:3、時には5:5とバランスを使い分ける能力のことです。
実際、対応ができている人は生き残っていて、できていない人はいなくなると感じています。
山本

▲地域活性化ウエディングプランナー
 山本 恵 様
私は「ONとOFF」の気持ちの切り替えができないとダメだと思っています。
ONとOFFのスイッチがちゃんとある人ということです。
以前、私の母がお世話になった病院の婦長さんに言われた言葉があります。
婦長さんいわく「看護師は制服を脱いだら、気持ちを切り替える訓練をしています。もし重病の患者様をずっと引きずっていると本当に必要な時に良いサポートができません。良いサポートをするためには切り替えが必要なのです。」まさにこのお話は、私達の仕事にも共通することだと思い、ずっと心に残っているのです。
鈴木
それは共感できるお話ですね。
ブライダル業界には、ブライダルが「大好き」で就職してきて、2、3年で業界から離れてしまう人が多いという課題もありますよね。
一生懸命入り込み過ぎて、燃え尽き症候群のようになってやめてしまう。
こうした課題については、どうお考えですか?
山本
大好きでこの世界に来た人ほど、入り込み過ぎてやめていく人が多いことは確かにあります。
先ほどの婦長さんのお話を逆に言うならば、気持ちを引きずっている人は続けられなくなるということにつながります。
切り替える力は本当に大切なのだと痛感しますね。
岡村
確かに「好き、好き」という想いだけで入ってくる方が危険かもしれません。
プライベートな感情は出さないことも必要ですし、好きだけではできないことも現実です。
それには、やはり訓練が必要ですね。
他のプランナーの相談に乗っていても「私はあなたのように強くない」とか攻撃的にくる方(笑)もいらっしゃいますが、ただ「強い」ということではなく自己コントロールする力が求められると思います。
鈴木
もう一つお聞きしたいのが、「フリーでやっていける人」という視点では、そこにはどんな基準のようなものがあると思われますか?
岡村
フリーでやるなら…「ビジネスが出来る人」。
新規成約率100%を狙える力があるとか、とにかく新規を集客できる力があるとかが無いとダメ。
実際、そうでないとやっていけない、認めていただけない現実があります。
山本
フリーになるということは、自分がすべてを受けるという重みをわかってからでないと苦労します。
実際、様々な商談や交渉をしていても、企業と比べて信用力の問題で「先払いのお金が必要」というケースが出できます。
そうしたこともすべて自分の責任で対処しなくてはなりません。
岡村
代わりのいない業態なので、私がいなくても結婚式が成立するよう、打ち合わせ時からお客様自身が丸投げにしない進め方をしています。

今後、業界全体がどのように変わっていくべきなのか?

鈴木
昨今、業界内でも人材不足を防ぐため、働く環境を整える施策として保育所を完備したり、土・日の打ち合わせを少なくするというような試みも始まっていますが、業界全体がどのように変わっていく必要があると思いますか?
山本
企業などの場合、会社の管理職になっていくと現場ができなくなる。
それでも「現場をやりたい」という人たちのための道があれば40歳ぐらいになってもやっていける人はいると思います。
岡村
現状いないですものね、40代で最前線にいる人が本当に少ない。
その意味では希望を無くしている方も多いのではないかと思います。
フリーとか会社とかの問題ではなく、出世のバリエーションや長く仕事を続けるバリエーションが極端に少ない業界ですよね。
若い方から見れば「どこを目指して行ったら良いのかわからない」のが実態だと思います。
鈴木
その意味では、先の見えない中、トップスピードで走り続けていると燃え尽きてしまうのでしょうね。
岡村
プランナーからの相談でも、「走るのをやめたら死んでしまう(笑)」という声も良くあります。
この業界の一部だけしか知らないから外の世界を見ている人の話を聞きたいのだと思います。
そんな時、私はいつも「ガンバレ!!」とだけ言います(笑)。というのも、マイナスな情報を言うことではなく、優秀な人は会社に残って、出世して変えていけばいい、と思っているからなんです。
山本
会社の仕事の中にも、まだまだ取り組み方で変わることがたくさんあると思っています。
たとえば、GOOD WEDDING AWARDのようなイベントに関わらせていただく経験の中で、非常に新鮮な感覚を教えていただくことも多々あります。
先日、たまたま私がフェイスブックに、あるコメントを載せていたところ「その言葉にすごく共感して、今回応募しました!」というメールをいただいたり、またある若手プランナーの方は「結婚式はもともと幸せなものなのだから、その幸せをさらに幸せにすることが大切」という取り組み方を発表されたりなど、業界内でお互いに触発しあったり連携していけば、まだまだやれることはあると思っています。
岡本
私もアワードの会場で感じることは、「同じ時代に、同じ業界で戦っている一員なんだ!」という想いです。
こんなに頑張っている人が実在している!って、見て感じることは大切なことかもしれません。
これからのGOOD WEDDING AWARDにも期待したいですね!
鈴木

▲リクルートブライダル総研
 所長 鈴木 直樹
やはり実際に働く人の力で、多様性に対応した新しい変化を創り出していくことが大切ですね。
貴重なご意見ありがとうございました。

(文・写真/西山俊哉)

フリーランス・ウエディングプランナー岡村 奈奈
中学生の頃から好きだった音楽バンドのコンサートスタッフになるために音楽大学に進学。大学2年生の頃から念願のコンサートスタッフとして活動し始めるが、それを続けていくために「何かのフリーの仕事を持つ人」にならねばと決心。大学卒業後、約2年間のフリーター時代に、何かのプラスになるはずと「着付け」を学ぶ。その着付けの世界からの流れでブライダル業界へたどり着いたという異端の経歴を持つ。週4日ブライダルの仕事、週3日音楽の仕事というアルバイト時代を過ごす。それから、さらにブライダルの現場を知るために、会場、レストラン、プロデュース会社などを経て、2005年からフリーランスのブライダルプランナーとして独立する。徹底した現場感覚から生み出す独自の視点とセンスで、多くのお客様からの相談へのアドバイスから、ブライダルのプロデュースまでを手掛ける。また同時に、仕事に悩むウエディングプランナーの相談役としても多方面から支持され、業界内でのフリーランスとしての道標となる存在といわれる。現在は、企業の商品企画やデパートで相談会を行うなど業界内外で幅広く活躍中。一貫して、「駅ビルにいるブライダルマザー」のような身近な存在を目指し、新たなフリーランス・ウエディングプランナーのあり方に挑み続けている。
地域活性化ウエディングプランナー山本 恵
音楽が好きで8歳から15歳までクラシックピアノを弾き続け、18歳から電子オルガンを始め、20歳で結婚してから、講師として活動。仕事上で転勤族であった夫とともに京都、三重、名古屋の各地で子育て中心の時代を過ごす。茨城県水戸市に移り住んだ頃、「結婚式場・奏者募集」の広告を見て応募し、奏者としてデビュー。1ヵ月に10数件の結婚式の奏者を務める。音楽仲間の結婚式の際、司会を依頼され「結婚式の司会業」への一歩を踏み出す。司会を担当する傍ら「結婚式そのものを作ることが楽しい!」と感じ始め、いつかは「作る側の仕事」をしたいという想いを持ち始める。その頃(2002年当時)、ウエディングプランナーを主人公にしたテレビドラマに出会う。ドラマの中で、菜の花畑での結婚式を作り上げるシーンを見て、「これをやりたい!!」と一念発起。ドラマの監修をしていたウエディング会社にこうゆう結婚式が自分も作りたいと想いをメール。その後、その会社が水戸に会場を出すことを知り、司会者として個人としてではなく法人契約なら。ということで起業を決意。「法人ならば取引可能」という話に触発されて、自ら会社を立ち上げ起業する。様々な現場を見ながら、まさにインプットとアウトプットを繰り返すように学び続け、その間、専門学校のブライダル関連の講師も経験するなど、持ち前のバイタリティで仕事を開拓してきた。現在は、地元・茨城県の店舗でブライダルの仕事を軸としながら、地域活性のための様々な仕掛けにもチャレンジし、茨城県の新たな未来像の開拓に力を注いでいる。
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