リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

カスタマーの変化という点ではどのような傾向が見られるか?

鈴木
進学では高校生の変化、または学校選びの変化ということであり、ビューティでは、美容業界への志向やお客様の変化と言うことになるかと思いますが、そうしたカスタマー側での変化の動向はどのようなことがありますか?
小林
学校業界も景気の影響は受けてきました。2008年のリーマンショック頃では、資格取得、理高文低、地元国公立志向などのキーワードが表すように手に職系や学費の安い進学先が注目されました。景気が回復すると、文系の王道である経済や法律などが復活し、グローバルな国際系も伸びましたね。カスタマー気質の変化という観点では、経済産業省が出した「社会人基礎力」についての報告があるのですが、これから必要な力については「主体性」「発信力」などがあり、今持っている力については「協調性」という傾向が出ているのです。空気を読むが、一歩踏む出す力が弱い、ということでしょうかね。学校選択への動きで見ると、現在では9割以上がオープンキャンパスに行っています。保護者の参加も含め、同じ学部名でもどこが違うのかなどをしっかり見極めたいという傾向にあるといえます。こうした状況の中では、教育理念やミッション、独自の姿勢をしっかり打ち出せているかがポイントとなります。たとえば、11年連続で入学者を増やしている福岡工業大学の例ですと、「For all the students」というフレーズを掲げ、学生のためになるとわかれば即実行するという姿勢をシンプルな言葉でメッセージし続け、学生や保護者の共感を勝ち得たのだと思います。
千葉
美容業界は、2000年頃のカリスマ美容師時代にあった「派手な業界」「カッコイイ仕事」つまり、儲かる&外車に乗れる(笑)というようなイメージは少なくなり、今は「働きがいがある」「人のために貢献できる」という地に足の着いた意思を持った美容学生が増えましたね。お客様も、40代女性がボリュームゾーンの今、本質的なサービスやプロ志向になってきているといえます。

業界での人材育成・キャリアプランなどはどのようになっているか?

鈴木
ブライダル業界で昨今テーマになっている「働く人たちのキャリアプラン」という問題がありますが、長く働くための環境や仕組みづくりという点では、何か事例はありますか?
千葉
美容での事例ですと、「Ash」などのチェーン店舗を展開している株式会社アルテサロンホールディングスでは、自分の会社の中に生涯働けるようなキャリアコースを構築されています。2000人ほどの社員がいる大手ですが、それぞれの年齢や志向に応じて「経営者コース」「指導者コース」「プロフェッショナルコース」というような多様なキャリアプランを設定しています。これは、あくまでも企業体だからこそ出来る仕組みではありますが。他には、東海エリアの沿線ドミナント型のサロンチェーンでは、美容と健康をコラボレーションさせたトータルビューティ業態として展開されていて、従業員のキャリアの幅を大きく広げているケースなどもあります

これからの業界に一石を投じたい、チャレンジしていきたいことは何か?

小林
まなび事業としては、高校の先生方の労働環境の改善を支援し、生徒一人一人に対する学習支援・経済的な格差解消に向けて「スタディ・サプリ」などのビッグデータを分析活用したオンライン型の授業を展開しています。Ed-techと言われる教育×テクノロジーの領域はまだまだ可能性が広がっていると思います。また、入学がゴールではなく、出口が勝負の時代なので、時代が大きく変わっていく中で、その先を見据えた進路選択や教育理念に共感した進学先を選ばせていきたいですね。人生100年時代は、いくつになっても学べる時代となりますから、学んだことが社会や企業の評価につながるような環境づくりをしていきたいと思っています。それをベースにした多様な学び方の選択肢をバックアップできたらいいですね。
千葉
ビューティでは、人手不足という課題をクリアしていくための施策として、「休眠美容師の活用」や「ママさん美容師の復職」も支援していきたいと考えています。社会課題に対する取り組み「未来会議」でも女性活躍をテーマとして取り組んでいます。もう一つのテーマとして「訪問美容」にも取り組んでいます。今後高齢化が進む中で、サロンに通えない人が増えてきます。一定の法的な条件をクリアした上で、施設やご自宅に訪問して施術を行う「訪問美容」の。啓発活動を続けています。美容業界への貢献という意味では、サロンオーナー、店長向けのマネジメントやマーケティングなどの学びの場を提供していきます。アカデミーでは全講座無料で実践していますが、これに加えて経営者の悩み相談やナレッジ・サポートのためのコミュニティも強化していきたいと考えています。やはり経営者は孤独になりがちですから、応援していきたいです。
鈴木

▲リクルートブライダル総研 所長 鈴木 直樹
今回は、進学、ビューティ、ブライダルという3つの業態を横断して、共通の課題やヒントとなる様々なケーススタディを共有できたと思います。世代の違いや業界の現状を超えて、「総研」の活動に役立つ新しいたくさんの視点をいただき、ありがとうございました。

(文・写真/西山俊哉)

2007年創設。高校生の意識調査、高校および大学・短期大学、専門学校などの高等教育機関の実態調査などを行い、学校業界の動向リサーチ・問題提起を行っている。高校の進路指導向け「キャリアガイダンス」、大学・短大の経営者層向け「カレッジマネジメント」の2誌を編集・発行し、学校教育の現状と課題をメッセージし続けている。

2011年に前身となる「リクルートビューティ総研」が創設され、美容業界向けのリサーチ機関としてスタート。その後、美容業界のオーナーを中心とした経営を学ぶコミュニティ機能を加え、調査、セミナーなどの学び、そして、未来会議というCSR活動などを含めた「ホットペッパービューティアカデミー」として2014年に開校される。

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